リングポンプ


先端研究を支える使命感とビジネスバランス

  • 2013年11月28日(木) 15:20 JST
  • 投稿者:
    matsumoto


 2012年度後半には、10月末に沖縄で開催された国際フォーラム「μTAS(マイクロタス)2012」、13年1月に東京ビッグサイトで開催された展示会「nanotech 2013」に参加しました。その結果、IPS細胞培養研究や、国内外での医療医薬関連で超微少流体を扱う分野での市場展開の可能性が見えてきました。


2013.10.7
株式会社アクアテック/玉川長雄氏・高橋尚氏
アイ・シー・アイデザイン研究所/飯田吉秋氏

医療研究の現場を支えるデザイン

(アクアテック 玉川さん)



 近年は「μTAS=マイクロトータルアナリシスシステム」といって、カードサイズのチップの中に微細な流路を作り、その中で微小流体をコントロールして化学分析を行うシステムが注目を集めています。このシステムを使うと、検体となる液体・血液が少なくて済むため、分析を効率的に行うことができるのです。
昨年の「μTAS 2012」には、大学教授を始め、博士号を持った研究者で、この分野の権威者2000人近くが世界中から集まっていました。







そこで今年10月末にドイツで開催される「μTAS 2013」において、新たな発想による「マイクロ流体コントロールシステム」の開発の目処がついたので、このプロトタイプを試作し、発表すべく現在準備を進めています。特許も既に2件申請しました。
 細胞培養、再生医療の分野では基本的に、大学の研究室ごとに、各種各様のやり方で実験器具を製作しています。そのため弊社の対応は、オーダーメイド、カスタムメイドになります。開発分野の進歩が激しく、資本・人・場所を要する大きな産業にはなりにくいニッチな分野なので、我々のような会社が対応していこうと考えています。




使命感とビジネスバランス



(アクアテック 高橋さん)

 弊社の売上を大きく支えているのは、小型チューブポンプです。今年6月の機械要素技術展では、あまり先端分野に特化せず、既存商品を大きくクローズアップしました。その結果、欧州の総合電機メーカーの洗濯機に採用されることになりました。海外の有力電機メーカーには、かなり興味を持っていただいています。またインクジェットプリンター用のチューブポンプは、ライセンス供与という形で弊社のビジネスに貢献しています。
マイクロポンプは引き合いが多いものの、本格的に売上に結びついていくのは少し先になりそうです。したがって、弊社のビジネス展開としては、既存分野である小型チューブポンプでの売上を基本としつつ、先端分野に投資的に関わる、という形をイメージしています。




500
(飯田さん)

 「流れを創造する企業」へとキーコンセプトを変えたことで、予想外の広がりが出てきました。そしてマイクロ流量システムを開発し、医療の現場で大学教授や助手・学生が研究に没頭する環境を提供するという一つのミッションが見えてきています。今ではチューブのないポンプも作っています。「流れの創造」なので、チューブにこだわる必要はないのです。

アクアテックの方々を動かし、製品をつくり出す原動力となっているのは、「先端医療の発展に貢献したい」という玉川社長の使命感、執念です。ミッションを高く掲げることで注目が集まり、信頼を得られ、結果としてビジネスが立ち上がっていく。今後もそういうサイクルで進んでいくものと考えています。

(取材・文 山納 洋)

アクアテックのツボ

山納さん・開発分野の進歩が激しく、大きな産業にはなりにくいニッチな分野をドメインと定めています。

・先端分野開拓という「ロマン」と、実売上確保という「ソロバン」のバランスを取っています。
・玉川社長の使命感と執念が、会社の原動力となっています。


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