リングポンプ


共通言語と成功体験を持つ製造メーカーとプロデューサーがめざすNO.1

  • 2012年1月 4日(水) 17:26 JST
  • 投稿者:
    matsumoto

アクアテック


玉川長雄代表取締役は、松下電器産業(現パナソニック)を退職後、70歳で小型チューブポンプ専門メーカーである株式会社アクアテックを創業。松下電器産業時代にはエポックメーキングな商品を世に送り出し続け、オーディオ史上語り継がれるTechnics(テクニクス)の開発部門での中心人物でした。またプロデューサーである有限会社アイ・シー・アイデザイン研究所 代表取締役 飯田吉秋さんもテクニクスで開発に携わったデザイナーです。このプロジェクトではテクニクスでの成功体験を共有する玉川社長と飯田氏がタッグを組み、世界一の小型チューブポンプメーカーをめざしています。

(株式会社アクアテック 玉川)

テクニクス

テクニクスは松下電器産業の経営に大きく貢献した花形ビジネスでした。当初は失敗続きで大変でしたが、ダイレクトドライブという新しいモーターの方式を開発したことで世界への道を切り拓くことができました。

(コーディネーター)
ダイレクトドライブとは、どのような方式なのでしょう。

(アクアテック 玉川)
通常モーターは2000回転から5000回転します。しかし、レコードプレイヤーのディスクにするためにはベルトを掛けたり、減速装置を付けて33回転に落とさなければいけません。しかしそうすると回転むらやごろつきが出るため音質が落ちてしまいます。そこで当時の技術者が最初から33回転する新しいモーターを開発し、そこからダイレクトドライブという方式が生まれました。

その開発メンバーの一人が弊社に加わり“ダイレクトドライブのポンプ”をつくろうということで、減速機を使わず直接モーターを回すチューブポンプの開発を行いました。これはとくに人工透析のポンプに使用すると音がせず、信頼性も高いと思われます。

(コーディネーター)
ポンプとオーディオでは全く違うものですが、回すという点で共通点があったのですね。

ところで今回のプロジェクトにプロデューサーとして参加されているアイ・シー・アイデザイン研究所の飯田様と玉川様はTechnics(テクニクス)というブランドを育て、世界に羽ばたかせてきた経験をともにお持ちですね。

飯田さん(アイ・シー・アイデザイン研究所 飯田)
ダイレクトドライブ(DD)というモーターが開発されたことで、テクニクスというブランドを立ち上げ、そこにデザイナーが参加することで素晴らしい商品ができました。オーディオブームということもあって当時プレイヤーだけでも月に30億円、年間で300億円を売り上げたと記憶しています。

世界一になるには技術とデザインだけでなく、販売戦略がとても重要です。テクニクスという日本のブランドの技術を知ってもらうために、まずイギリスのBBC放送局でDDプレイヤーを採用いただきました。するとアメリカやヨーロッパでの評価が高くなり、日本でも販売が順調に伸びはじめました。僕らはそれをブーメランと呼んでいるのですが、市場戦略を日本からはじめるのではなく、海外からスタートさせる。海外で成功すると、3年ほど経って日本でヒットする。投げて帰ってくるのでブーメランですね(笑)

(コーディネーター)
開発での成功体験があるからこそ、臆することなくどんなものでもつくることができるということですね。

アクアテック(アクアテック 玉川)
アクアテックのモットーは「ないものはつくろう」。
世の中にないものをつくれば皆様に喜んでいただける。こちらもそれが嬉しい、それでできたのが試作の山ですが(笑)

(飯田)
玉川様とは年齢は違いますが同じ松下電器産業に在籍していたことで、言語の共通性があって詳しく話をしなくてもお互いの思いが理解できるところはとても大きいですね。

またお互いに世界一になった成功体験を持っていること。一番を狙う二番手は情報だけを集めて一番を越えることを考えればいいですが、一番になったとたんに新しいものを考え出さねばならない、常に先駆者的要素が求められてきます。玉川様の新しいものをつくって人を喜ばせるというのは、そこが原点だと思います。私の提唱する笑顔のデザイン、成長するデザインも人のやらないことをやる、人のやったことはやらないというのがベースなので、共有の成功体験を持った者同士の見えない糸で繋がれて仕事をしている感じがしています。

(アクアテック 玉川)
産業人の本分に徹するとは、社会に貢献することだと私は考えます。弊社のような小さな会社では社会に貢献するとまではいきませんが、関西地区とかに何らかのプラスになるようにこのプロジェクトが育って欲しいと思っています。

(飯田)
企業の社会貢献とは、本業を通じて利益をあげ、社会の発展にいかに貢献するか、です。そのために、企業の核を見つめ、思想を一致させることが、ブランディングだと考えています。
企業理念とそれらを商品にどのように具現化するのか、企業の柱となる技術や要素は何かをとらえ、社会性を踏まえながら構築していきます。企業をひとつの人格として考える企業人格図を提示し、将来の企業のありかた、将来の製品展開の指針をしめすことが、プロデューサーとしての私の役目だと思っています。

アクアテックは、医療分野という全く新しいジャンルで、世界に認知される企業になろうとしています。CI,VI,PIをそれぞれ設定し、それらに沿ってものづくりコンセプトを定め商品をつくることが重要です。

今、しっかり小型チューブポンプの位置づけを明確にし、将来の展開を示すことが、私に課せられた使命であると思っています。


(取材日:2011.8.22)

アクアテックの「ツボ」

山納さん・Technics(テクニクス)というブランドを立ち上げ、育て、世界に羽ばたかせてきた成功経験を、社長とプロデューサーが共有しています。

・圧倒的な製造技術の強みを支えているのは、「好奇心」と「知識欲」と「やる気」です。

・強みの技術をどの分野に活かしていくかの構想が、融通無碍ですね。


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