「made in west」は中小企業が培った長年のノウハウを活かし、日本企業の発想力・技術力をデザイン・プロデュースによって復権させ、新しいビジネスモデルを創造するプロジェクトです。丁寧で良質な製品づくりを得意とする、関西の中小企業とクリエイターとの協働による商品が東急ハンズ梅田店にてデビューを果たしました。
(コーディネーター)
東急ハンズ様からのオファーがきっかけとなって「made in west」のコンセプトが生まれ、5月の梅田店でのデビューを終えてまずまずのスタートですね。
(株式会社オプスデザイン 神崎恵美子)
製造メーカー様には東急ハンズ梅田店でお披露目されるということで、非常にメリットを感じていただけました。イベント終了後も「made in west」の商品が東急ハンズ梅田店の既存の棚へ戻してもらえるような商品構成と企画にこだわったところも東急ハンズ様、製造メーカー様のどちらにも評価していただけたと思っています。
(コーディネーター)
今後、「made in west」としてはどのような動きを考えてらっしゃいますか。
(オプスデザイン 神崎)
基本的には17か18の製造メーカーさんとのお付き合いは継続するつもりです。
東急ハンズ様でお披露目させていただいた商品の中にも、このまま継続できるというものと、改良の余地があるなと感じたもの、まったく違う方が良かったというものなど、実際のお客様に手に取っていただくことで分かったことが沢山ありました。それを踏まえて今後はまず「made in west」というブランドを育てていくこと、そして協働する製造メーカーとのアイテムを育てることをめざします。
例えばタオルはもっともよく売れる商品ですが、現在はバスタオルの大と小との2サイズしか展開がなく、タオル売り場でのフェイス確保は難しい。そういう点も踏まえてフェイスを確保できる商品計画も考えていくつもりです。
(コーディネーター)
関西の丁寧で良質な製品づくりを得意とする中小企業の製造メーカーにとって
「made in west」のような提案型のデザインでのものづくりや、自社の商品がリアルな生活者の目にふれ売れていく体験は、企業のものづくりの成長につながるとお考えですか。
(オプスデザイン 神崎)
製造メーカーの方々は口を揃えて「デザイナーの考え方がよくわからない」と言われます。このプロジェクトでは、デザイナーも企業も一緒に考えて、お互いが理解し合える関係づくりを目指しています。その経験を、さらに企業ノウハウにしてもらいたいと考えています。
(コーディネーター)
今回の助成金を受けてやろうとしていることはなんでしょう。
(オプスデザイン 神崎)
ネットワークの構築です。デザインの活用性を理解いただき、各製造メーカーの成長につなげ、ブランド構築するお手伝いです。「made in west」でつくった商品が単なるきっかけで終わるのではなくて、実業につなげていく仕組みを世の中に打ち出してプラットフォームにしていきたいと思っています。
そのために、今後も参加していただく製造メーカーの方々やクリエイターも増やしていきたいと考えています。
(コーディネーター)
東急ハンズ様でのデビューは買い取っていただくという前提でしたので、売りが立っている状態でしたが、今後はどのように売りを確保されていくのですか。
(オプスデザイン 神崎)
次回の製品開発では売りを確保していない状態です。今後はこちらでどの時点から量産体制を組むかということを、細かくマネジメントしていかないといけない時期だと考えています。協業という意味では、東急ハンズ様でのスタートとして1年をめどにビジネスに変えていきましょうと、製造メーカーの方々にお話しています。
(コーディネーター)
今後の具体的な展開を教えていただけますか。
(オプスデザイン 神崎)
9月に開催される展示会「EXTRA PREVIEW #3」に参加します。
福岡の雑貨メーカーのハイタイド様が中心となって、ビッグサイトでギフトショーが開催されている時期にあわせ、その周辺の会場で同じ世界観を持つ人達が集まり展示会を開催されています。今回は20〜30社がバイヤー向けに展示をします。この展示会から「made in west」の再スタートという感じですね。東急ハンズ様で試したことで、改良が必要なものや現状のままでOKなものも含めて提案します。ここからは、ロットを積み上げないといけないので私達のリスクも高くなってきます。今後は各製造メーカー様とロットを積まれる際の協業について一社一社の事情をヒアリングしながらマネジメントを組んでいきます。
(コーディネーター)
どんな売り先をイメージされていますか。
(オプスデザイン 神崎)
やはり「made in west」の世界観に共感してくれる店舗となるとメガサイズの量販店ではなく、弊社のプリデリグラフィックラボのような単独店舗からはじまり、何十店舗にも卸すというフェーズになるのではないでしょうか。
同じ価値観、世界観を持ち商品をつくる、商品を買ってくれるファンを増やしながら関西のブランド力、地域力をアピールしていきたい。
世界のことは大きすぎて、日本のことも知識がなさすぎて考えられませんが、この関西のことならばいろいろなことを考え、連動させていくことで魅力あるものに変えていくことができのではないかと考えています。
(取材日:2011.8.5)
オプスデザインの「ツボ」
・商品の売り先が確定してからプロジェクトが始まり、そこからメーカーを巻き込んでいます。
・メーカーにとって、デザイナーの考えを理解するのは難しい。その前提に立って、理解し合える関係づくりを目指しています。
・製造業側が始めたプロジェクトではなく、デザイナー側がコーディネートし、多くの製造業を巻き込んだ展開をしています。
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