山陽製紙株式会社


消費者に向けてつくる、企業に向けてつくる

  • 2013年3月20日(水) 16:47 JST
  • 投稿者:
    matsumoto


「健康なKAMIづくりプロジェクト」を推進する山陽製紙株式会社。この1年間に取り組んできたのは、古紙再生技術を活かしたオリジナルブランド商品の開発と、企業から出るオフィス古紙や廃棄物を再生して製品化する「循環型製紙」のビジネスモデル構築です。同社のこの1年間の軌跡からは、「B to C(消費者向け)」と「B to B(企業向け)」を掛け合わせたビジネスモデルのありようが見えてきた。


消費者向けか、企業向けか

原田専務


2011年12月のエコプロダクツ展では、半分のスペースを使って落花生やコーヒーかす、イチョウ葉など、18種類の副産物を抄き込んだ紙を展示し、残りのスペースで紀州梅の種を炭にして紙に抄き込んだ「梅炭紙」を使用したプロダクトを紹介しました。多くの方々に興味を持っていただけましたが、それらはその後すぐに商品化には至ったわけではありません。

マーシーデザインズ 島直哉さん

エコプロダクツ展に来られていたのは、企業のCSR担当者や教育機関の方々が中心で、小売店のバイヤーは多くはありませんでした。そして出展を通じて、自分たちは「消費者に商品を売りたいのか」、それとも「企業や団体向けのサービスを売りたいのか」を整理する必要があると感じました。



消費者からマーケットを知る、という手法




原田専務


次のアクションとして、マーケティングの深掘りを目的に、2012年5月から7月に、大阪産業創造館主催の「消費者モニター会」に出品しました。そこでは200人ほどの登録モニターの方々から、商品の印象、価格、使用感など、率直な意見を聞くことができました。
 モニター会への出品にあたっては、準備段階から振り返りまで、産業創造館の方々に指導いただきました。そこではコンセプトの明確化、企画書の書き方、パッケージ、ネーミングなど、当社になかった新たなノウハウを得ることができました。

島さん


 モニター会では、ブランディングを専門とされている経営コンサルタントの先生との新たな接点ができました。彼女には、その後新たな参謀としてプロジェクトに入っていただき、ものづくりと流通のアプローチを分けながら融合させていく手法について指導いただいています。



消費者向けであり、企業向けでもある、という道


原田専務


 山陽製紙では、「梅炭紙」を使ったオリジナル商品や、オフィス古紙を再生させて作った文具などを開発しています。一方で、「カミデコ」という、企業様と一緒に紙づくりを行い、企業の環境貢献活動をお手伝いするサービスを展開しています。


 「カミデコ」のビジネスモデルは「B to B」ですが、オリジナル商品の開発を通じて「B to C」のブランドを構築できていれば、企業向けにサービスを訴求するのに有効です。ただこれまでずっと「to B」の世界でビジネスをしてきた私たちが「to C」の分野に進んでいくためには、知識・ノウハウの充分な蓄積が必要です。この2方向のバランスと連動についての戦略的な視点を、モニター会への出品を通じて学ぶことができました。



島さん


 10月には、万博記念公園で開催された「ロハスフェスタ」に出展しました。目的にしていたのは、モニター会を踏まえた商品の再マーケティングと、新規ニーズの検証です。
 出店ブースでは、半分をこれまで開発してきた文具などの販売スペースにあて、残りのスペースに、300円で手抄きハガキが作れる「手抄きキットコーナー」を設置し、あわせて紙抄きキットを置いたり、古紙ロールの端を小巻きにしたものを「縫える紙」と銘打ってして販売したりしました。


 また今回のフェスタにあわせて、「comonoシリーズ」と題して、古紙を使った封筒やペーパーバッグなどを開発しました。この商品は、消費者向けとしてだけでなく、「回収した古紙はこういうものになりますよ」と、営業が企業様に対して用途を提案できるツールをイメージして作っています。


 ロハスフェスタには、手作りやロハスに関心が高い人たち、地方から買い付けに来ている雑貨屋の人たちが集まっています。それゆえフェスタへの出店は、アンテナショップとしての意味を持ちます。ブースは大人気で長蛇の列ができ、実験的な商品が飛ぶように売れました。そのことで、新規ニーズの仮説が見えてきました。また社員がブースに立ち、じかにお客さんとの接点を持つことができたことも、貴重な機会でした。


 12月にはまた、エコプロダクツ展に出展します。今回は「to C」の要素を外し、「to B」の提案に特化した展示にする予定です。

山陽製紙の「ツボ」

山納さん・「企業の環境貢献活動をお手伝いするサービス」(B to B)がメインビジネスだと認識されています。

・「B to C」の分野に進んでいくためには、知識・ノウハウの充分な蓄積が必要です。

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